熊本市消防団意見発表会実施報告書

熊本市消防団意見発表会実施報告書

趣 旨

消防団活動に関する優れた意見を持つ消防団員による意見発表会を実施し、消防団員の意見、取り組み状況等を明確にすると共に、消防団の現状及び消防団が抱える課題・問題点を把握し、消防団活動の一層の推進と活性化を図るもの

内容は下記PDFファイルをご覧下さい。

実施報告書

◆◇◆ 最優秀賞作品を紹介します。◆◇◆

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未来へつなげたい心

第8方面隊66分団 角居聖登

 真夜中、街のサイレンが鳴る。私は起きて法被を羽織り、長靴をはき、家を出て 消防小屋に向かう。いつものころからか夜中の出動にもなれつつある。

 よくある話で卒業していつの間にか団名簿に名を連ねていました。入団したてのころは出動も活動も面倒に思ったこともありましたが、最近では責任ややりがいを感じるようになり、意欲的に参加しています。また、分団の中核を担うようになり、消防団というものの意義、これからの課題や展望などいろいろ考察するようにもなりました。

 近年最も問題とされているのは、団員数の減少と随時出動できる人材の不足です。 これは日本のみならず、消防団のような「ボランティア消防組織」を持つ国すべてに共通する悩みです。特にアメリカやヨーロッパなど、都市部を除き、ボランティアが消防本部や消防署を運営し、災害対策にあたっている国では深刻となっています。日本でもかつて200万人いた団員は90万弱になり、減少に歯止めがかからないのが現状です。

 原因としては人口減少、若者の流出、サラリーマンが活動に参加できない事、過疎化や高齢化などがあげられますが、近年の災害は、大規模化、多様化、複雑化しており、早急な対策が求められています。

 では、政策、法整備は国や自治体にゆだねるとして、私たち団員にできることはないのでしょうか?

 私は今こそ、団員の一人ひとりの行動が問題解決へ大きな力になると思います。

 重要なのは入団人口をただ増加させることではありません。消防団員は地域を、隣の人を、そして家族を守る気持ちを地域全体に広げ、共有することが一番の仕事であると私は考えます。防災も消防団もその気持ちがあってこそ始めて成り立つものだと思います。

 だからこそ今一度考えていきましょう。自分の家族は火災、地震のときの正しい対処法を知っているでしょうか?消防団をどう思っているでしょうか?友人はどうでしょうか?そして団の活動や防災の重要性を理解してもらう努力を怠ってはいないでしょうか?

消防団の活動は所属していない人々からはよくわかりません。能力、装備、訓練制度の面から見ても十分とは言いがたいでしょう。しかし、能力の高い消防士でも広域災害においてはその絶対数が不足してしまうので、いざという大災害のときに要になるのはその地域に暮らす消防団員です。それに住宅などの火災の原因は依然「ついうっかり」といったいわゆる「ヒューマンエラー」による割合が高くなっています。団員一人ひとりが家族に防災の知識や対処法を少しでも伝えていくことにより、必ずその生命財産を守ることにつながります。家族を通して地域の災害を未然に防ぐことも団員しかできない重要な仕事です。活動への理解を広げることは、地域住民を入団につなげる第一歩です。

 また消防団は、コミュニティとしての観点からも地域にとって重要な役割を担う事も広く発信していくべきです。人間関係が希薄とされる現代社会において、広い世代が交流を深め、協力し合う貴重な場なのです。それは、防災のみならず、地域の活性化にもつながります。

 ここでもう一度考えましょう。自身はより良い交流のできる環境を目指しているでしょうか?入団したいと思われる活動をしているでしょうか?伝統やしきたりにとらわれていないでしょうか?幹部は団員への配慮を欠いてはいないでしょうか?

 入団して10年、大きな出動や操法大会なども経験し、少しは団員として成長できた気がします。そんな経験をさせてくれた我が消防団は私にとってかけがえのない居場所です。笑いあい、信頼しあい地域を守る仲間がいる自慢の分団です。だからこそ、より誇りに思える消防団にするため、自身ができることはないか、今一度考えていこうと思っています。

 ほかにも消防団にはさまざまな課題がありますが、団員それぞれが消防で得たものを尊重し、発展的に考えていければ必ず乗り越えていけるはずです。家族や地域を守る気持ちを原動力として、所属するものが笑顔でいられる、そして誇りを持って活動できるコミュニティとして、その思いとともに後輩や次の世代につないでいきましょう。

 真夜中、街のサイレンが鳴る。起きて急ぐ私に妻はハッピを用意し、送り出してくれる・・・なんてことは絶対にありえないわけですが、そんな妻と子供の寝顔は私に少しの勇気をくれるのです。きっとその小さな勇気は、誰かが救いを求めるとき、私の背中を押す大きな力です。

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